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【1分でわかる】ダンサー・イン・ザ・ダークのあらすじ紹介!(ネタバレあり)

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はデンマークのラース・フォン・トリアー監督が発表した異色のミュージカル映画。

アイスランドの歌手ビョークが主演を務め、カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞しました。

現実の残酷さとミュージカルの幻想を融合させた本作は、その衝撃的な内容と独創的な演出が光る作品です。

目次

ダンサー・イン・ザ・ダーク あらすじ(ネタバレなし)

主人公は「セルマ」という母親。

ホラー映画ではないですが、内容はかなり恐ろしく、セルマに起きる悲劇はかなりショッキングな内容になっています。

物語の簡単なあらすじは、東欧からの移民セルマがアメリカで幼い息子ジーンと貧しく暮らしている…というところから始まります。

しかしセルマは遺伝性の病で徐々に視力を失いつつあり、息子も手術を受けなければやがて失明する運命です。

セルマは息子の手術費を貯めるため昼夜問わず働いていますが、過酷すぎる運命が待っています。

作品に込められたメッセージ

本作のテーマは「母性」、すなわち母親の無償の愛です。

自分より子供の未来を優先するセルマの姿は観客の胸を打ちます。

また、移民のシングルマザーが貧困と障害を抱える過酷な現実が描かれており、ラストに表示される「これは最後の歌じゃない(私たちがそうさせない限り)」という字幕には、何もしなければ悲劇は繰り返されるという皮肉なメッセージが込められているかのようです

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は悲劇的な内容ながら、映像と音楽が融合した衝撃の一本です。

観終わった後も余韻が残り、人によっては一生忘れられない作品になるでしょう。

決して万人向けではありませんが、心に深く訴える映画を求めるなら一見の価値がある傑作です。

次からはネタバレありの作品紹介となります。

必ず映像で見たい、という方はここでお戻りください。

ダンサー・イン・ザ・ダーク あらすじ(ネタバレあり)

序盤:セルマと息子の困難な生活

セルマはチェコからの移民で、一人息子ジーンを女手ひとつで育てながらアメリカの工場で働いています。

彼女は先天性の目の病気で徐々に視力を失いつつあり、息子も13歳までに手術を受けなければ同じく失明する運命でした。

そのためセルマは自分の目がほとんど見えない状態でも、息子の手術費用を貯めるために昼夜懸命に働いています。

セルマの周囲には理解と愛情を持つ人々がいて、同僚のキャシー(キャトリーヌ・ドヌーヴ)は母親のように彼女を気にかけて助けてくれます。

また工場仲間のジェフ(ピーター・ストーメア)は密かにセルマに想いを寄せますが、セルマは自分の幸せより息子の目を治すことに心を砕いており、ジェフの求婚さえ断ってしまいます。

隣人のビル夫妻もセルマ親子の面倒をよく見てくれる存在で、警官のビル(デヴィッド・モース)は自身の家の敷地にあるトレーラーハウスに彼女たちを住まわせてくれている恩人でした。

一見満ち足りた生活を送っていたセルマですが、視力の低下と息子の将来への不安という誰にも言えない秘密を抱え、愛する息子のためひたすら働き続けていたのです。

セルマの唯一の楽しみはミュージカル映画や舞台で歌い踊ることで、工場のプレス機の騒音さえリズムに見立てて空想の中でダンスシーンを思い描くほど、彼女は日常的にミュージカルの世界に没入していました。

仕事終わりにはキャシーとミュージカル映画を観に行ったり、アマチュア劇団の舞台稽古にも参加しており、歌って踊っている間だけは辛い現実を忘れられるのです。

しかし、そのささやかな安らぎも長くは続きませんでした…。

中盤:貯金の喪失とビルの裏切り

ある日、勤務後にビルが沈んだ様子でセルマを訪ね、突然「金を貸してほしい」と頼んできました。

裕福なはずのビルの懇願に驚いたセルマが理由を尋ねると、ビルは「実は妻リンダの浪費で親の遺産を使い果たし、家も借金で差し押さえ寸前だが妻に打ち明けられない」と打ち明けます。

セルマは同情して自分も年内には失明すること、その前に息子の手術代を貯めようと必死で働いていることを明かし、二人で困難に負けず頑張ろうと励まし合いました。

しかしビルはこの告白を聞くと、視力のほとんどないセルマの弱みにつけ込んで彼女の貯金の隠し場所を探り出し、苦労して貯めた大金を盗み出してしまいます。

盗まれたことに気づいていないセルマ。

もう少しで手術費用が貯まる、というところで視力低下の影響で工場の作業ミスを起こし、ついに解雇されてしまいました。

失意のまま帰宅した彼女をさらに打ちのめしたのは、誰にも悟られないよう家の中に隠していたはずの貯金が跡形もなく消えていたことでした。

セルマは犯人がビルだと知り愕然とします。

息子の手術代を奪われた彼女はいても立ってもいられず、盗まれたお金を取り返そうとビルの家へ押しかけました。

すると二階から現れたビルは拳銃を手にセルマに向けてきます。

信じていた隣人に突然銃口を向けられたセルマは、何が起こったのか理解できず悲しみに打ちひしがれて泣き出してしまいました。

やがて我に返ったセルマが必死にビルから銃を奪おうともみ合った弾みで、銃が暴発して一発の銃弾がビルの足を貫いてしまいます。

重傷を負ってもビルは「俺を殺さないと金は返さない」とセルマに執拗に迫りました。

愛する息子の未来を奪われまいと追い詰められたセルマはついに引き金を引きます。

しかし、目がほとんど見えず、銃弾を当てることができず、致命傷を与えることができません。

セルマはビルが盗んだお金を入れていたアタッシュケースでビルの頭を何度も叩きつけます。

目が見えない故に、原型がわからなくなるくらい、何度も何度も。

こうしてセルマは息子の手術代と引き換えに、尊敬していた隣人ビルの命を奪ってしまいました。

終盤:裁判、そして悲劇の結末

セルマは強盗殺人の容疑で逮捕され、法廷に立たされます。

彼女は裁判でも頑なにビルの借金の秘密だけは守ろうとして真相を語らず、自身がほぼ失明状態だったことや貯金を息子に送っていた件についても周囲に誤解されたまま黙って耐え続けました。

その結果、セルマは身勝手で冷酷な犯人だとみなされてしまい、陪審から有罪判決を受けて絞首刑による死刑が言い渡されてしまいます。

収監後、面会に訪れたキャシーは「貯めた手術代で弁護士を雇って戦おう」と説得しますが、セルマは「自分よりジーンの目が見えることの方が大事」と首を振り続けました。

セルマにとって何よりも息子の視力を守ることが最優先であり、自分の命を救うためにそのお金を使う気は全くなかったのです。

そして迎えた刑の執行の日。処刑台へ一歩一歩と歩み寄るセルマに、キャシーが「あなたの息子さんの手術は無事成功したわ」と告げました。

セルマは息子の目が見えるようになったことに大きく安堵し、恐怖の中で心を落ち着かせるため空想の中で最後の歌を口ずさみ始めます。

ところが、その歌のフレーズを歌い終える前に無情にも処刑台の踏板が落とされ、彼女の命は絶たれてしまいました。

カーテンが引かれるように幕が下りた後、そこには静けさとやりきれなさだけが残されたのです。

セルマは自らの犠牲によって最愛の息子の未来に光を与え、物語は悲痛な幕切れを迎えます。

ダンサー・イン・ザ・ダークはフィクション。実話じゃない。

内容がかなりリアルで作りこまれているので、現実にあった話なのでは?と思う方もいるでしょう。

ただ、本作は完全オリジナル、つまりフィクションです。

ラース・フォン・トリアー監督が脚本を務め、原作本も出ています。

良くも悪くも忘れられない作品であるダンサー・イン・ザ・ダークですが、フィクションである…というのが唯一の救いでしょうかね…

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